大坂街道沿いの建物はそのほとんどが遊郭特有の意匠をもっていますが、その中でも特に目立つものがありました。
一階の格子やタイル、二階の手すりなどが目に入りますが、あまりにピカピカすぎ&看板が目立っていて、「後年になって建てられた遊郭建築を模した建物では?」と疑ってしまいました。
その名も「旅館 橋本の香」 |
元は三桝楼という屋号だったようです。
ここで少し調べて見学が可能だと知り、意を決して中に入ってみました。
この時は宿の方は不在でしたが、二つとなりの建物(こちらも転業のもの)にいたようで、カウンターにあった番号に電話をかけるとすぐに来てくださりました。
どうやら私の他にももう一人見学の方が来ていたようで、その人と一緒に中を見学させてもらうことに。見学料金は500円です。
これが玄関の写真ですが、この時点で普通の旅館ではないという雰囲気が漂っています。
ここで靴を脱いで上がります。
タタキの表面にタイルが敷き詰められていますが、角が曲面になっていてすごい!
上がったところにあるこの絨毯は遊郭として営業していた頃からあるものだとか。
この床板ももちろんそのまま。
すぐ横に飾られているこの大皿と電話機もすごいですね~見た事がありません。玄関に入って左手の部屋も開けてくださいました。
ここは普段はマッサージに使っているらしい。
まずは二階へ上がるということですが、階段の上にあるこの曲線も妙に惹かれます。
普通じゃない…!
橋本の香 二階へ
当時のお客さんも使った階段を上がると、そこは宿泊スペースとなっています。それぞれの部屋にある窓もかなり特徴的です。
この妓楼の個性が発揮されているところと言えますね~
この階段はさっき上ってきた階段とは別のものですが、こちらはお客さんが帰る際に下るためのものです。
右書きなのが歴史を感じさせて嬉しいですねえ…
文字の間のガラスも良いセンスです。
その反対側の洗面所のガラス。紫色が素敵です。朝起きてここで中庭を見下ろしながら顔洗えたら気分いいだろうなあ。
この襖一つとっても、芸術的というかこだわりが感じられます。
ここの女将さんはほんと良い方で、ほとんどの部屋を開けて見せてくれました。
こちらの客室は向こう側にある色ガラスからの光が妖しげな雰囲気を醸し出しています。
建物の奥のほうにも階段があります。こちらはお客ではなく、遊女が使っていたようです。
ほんとここ泊まってみたいなあ。。
ステンドグラス祭り
ここからは正面側の写真を。
お客さんが帰る階段の脇の部屋。構図が下手すぎて収まっていませんが、この天井は扇を模しているそうです。
見れば見るほど細かい!
このステンドグラスを見られただけでも500円払う価値があったものです。
そこを抜けると廊下(というか広縁的な?)
色とりどりのガラスとその上に描かれる弧がとてもきれい。
遊女たちもここから下を歩く人たちに声をかけていたそうな。
お向かいの建物もやはり妓楼だったようです。
女将さんの解説によると、この建物に最初に来たときはこの手すりもボロボロだったようで、それを上から塗りなおしたそうです。
ちなみにこの一軒改修するのに2000万円かかったとか。。
戸の鍵もそのままなんでしょうね。こういうところまで改修をするのは大変だったろうなあ。
一階のステンドグラス
最後に一階へ降りてきまして、中庭の周りを案内してもらいました。
そこで出会ったのが…
この洗濯スペースにある一面のステンドグラスです。
中庭に向けて出っ張った部分が全部色とりどりのガラスになっています。
四角や曲線がきれいに配置してあって、さらに花や葉のデザインがちりばめられているのが素敵としか言いようが無いですね。
どうやったらこの組み合わせの模様を考え着くのか…チューリップもきれいです。
このセンスに脱帽 |
中央には普通のガラスをはめた部分もあります。きれいすぎる。。
このステンドグラス、気に入りすぎたのでブログの画像にも採用しました。
受付に並べられた遺物たち |
今回はほぼ下調べせずに行ったためその場で見学することを決めたのですが、入ってみて本当に良かったです。
また、実際に使われていた建物に入るのは初めてだったので念願叶ったという感じでした。
築80年を超える歴史を持つ元妓楼を詳しく見学できるというだけで500円の価値はありますので、おすすめです。
(公式HP)旅館 橋本の香
ここの女将さんはもう一軒、元妓楼の建物を所有しており、それが最近茶楼としてオープンしたようだったのでそちらも行ってきました。
その様子はまたいずれ。
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